現在、認知症徘徊による行方不明者数は、増加傾向にあります。様々な対策グッズが開発されていますが、行方不明者の数は後を絶ちません。警視庁の資料によると平成24年以降認知症徘徊によって行方不明になる高齢者の数は増加が続き、平成30年には行方不明者数が16,927人と平成24年の約1.8倍になっています。
幸いなことに近年では、そのうちの7割以上が捜索当日に所在確認ができています。しかし、手がかりがないと発見までには時間を要し、家族や本人ともども大きな負担をおうことになってしまいます。
例えば冬場に薄着で外へ出てしまったり夏の炎天下で長時間徘徊をしてしまったりする場合です。高齢者は健康状態が急変しやすく、一刻も早く発見しなければ命に関わる問題になりかねません。
また認知症で徘徊してしまう高齢者は、正しく安全を見分けることができず、大きな車道へ出て行ってしまったり、信号無視や急な飛び出しをしてしまったりと事故につながるリスクはとても高く、発見までに時間がかかっていなくても手遅れになってしまう実例もあるのが現状です。
少しでも大切な家族の安全を守るためにも、認知症徘徊対策グッズは欠かせません。それではどのような対策グッズを選択したらいいのでしょうか。項目ごとに具体的なお話を進めていきたいと思います。
認知症徘徊対策方法とグッズのメリット
認知症の徘徊を防止するには様々な方法があります。
例えば、玄関ドアに「故障中」「さわるなキケン」などの注意喚起をする言葉を書いた紙を貼る方法があります。玄関のドアを使用できないことを印象付けることで、一人で外へ出ていくことを阻止することができます。また、自力では出ることができないよう障害物を設けておく手段もあります。
しかし、この方法は、比較的認知症の症状が軽い人でないと理解ができない場合が多く、障害物を置くなど無理に行動を阻止することで怒ったり暴力的になったり、暴れて自らを傷つけてしまったりと、返って危険を増やしてしまう対策にもなりかねません。
警備会社のシステムを利用したり、介護施設へ入居したりと徘徊防止対策を家族以外の企業などに任せる手段もありますが、費用がかかり経済的な負担となってしまう可能性が高いのも確かです。
近隣と関わり認知症の人がいると情報共有し日常的に協力をお願いしたり、地域ボランティアに相談して助けになってもらうこともできますが、このような協力は認知症の高齢者が徘徊してしまった時に事故に合わないように協力したり、捜索に協力するといった内容が中心です。徘徊を未然に防止するにはまだまだ対策不足と感じる方も多いでしょう。
すぐにでも対策を取りたいという方には、認知症徘徊防止グッズを取り入れることをお勧めします。
最近は、様々な認知症徘徊対策グッズがつくられるようになりました。
例えば、外出をしようとしたら知らせが届く、人感センサー付きのものや徘徊を防止する電子錠、徘徊時すぐ居場所がわかるようにするgpsなど用途や認知症の細かい症状によって対策グッズを使い分けることができます。
グッズは比較的安価なものが多く、手軽に取り入れることができます。
迅速な対応、かつ費用がかからないものを探している方は、対策グッズを活用して認知症の徘徊を防止していきましょう。
それでは具体的にどのようなものがあるのか、項目ごとに解説していきたいと思います。
鍵を使った認知症徘徊対策グッズ
鍵を使った対策は、昼夜時間を問わず防止することができます。
対策の手段として、認知症高齢者の手が届かない場所にもう一つ鍵を追加したり、南京錠など内側でも鍵が必要とするものを取り付けたり、直接玄関の施錠方法を変えてしまう対策もあります。しかし、これらの方法はともに使用する家族にも少々不便が生じてしまうところが難点です。
南京錠などで二重ロックにする場合はダイヤル式のもの選ぶなど認知症高齢者以外の人が出入りするのに面倒ではないグッズを取り入れ対策するようにしましょう。
また、最近では認知症徘徊対策に電子錠を取り入れる人もいます。電子錠はオートロックなどセキュリティを強化するために使用される場合が多いですが、認知症の高齢者が外に出ないように対策することもできます。電子錠の中には遠隔操作で施錠することができるタイプもあり、認知症の高齢者が一人で家にいる際の徘徊防止対策にも役立ちます。
電子錠の鍵はリモコンキーヤカードキーを使うタイプが多いですが、無くしやすいなどの理由で不便を感じる人もいます。そういった場合には、電気を使わず機械式の番号を押し施錠するタイプもあるので検討してみると良いでしょう。
比較的防犯対策用の施錠グッズは認知症徘徊防止にも役立てることができるので、防犯グッズを中心に認知症の徘徊防止対策に応用できるものはないか探してみるのも有効的です。
認知症の高齢者は、玄関の出入りが不可能となると窓など他に出入りが可能な場所を探し出し外へ出てしまうこともあります。鍵を使って認知症の徘徊を防止する際は、必ず玄関以外の窓や勝手口など他に出入りが可能な場所にも忘れずに対策グッズを取り付けるようにしましょう。
センサーを使った認知症徘徊対策グッズ
認知症の徘徊を防止するグッズには、鍵を使ったタイプの他センサーを使用するものもあります。
センサーで認知症の徘徊を防止するというと警備会社と連携して人感センサーを設置するイメージがありますが、最近は個人で設置できる電池式のものも販売されており、比較的低コストでセンサー機器を購入することができます。
例えば、THANKO 人感センサー付きアラーム
この機器は、出入りの少ない倉庫やガレージ、裏門などに設置し、侵入を音で知らせる防犯機器として販売されていますが、認知症の徘徊防止にも役立てることができます。
アラーム音はあらかじめ本製品に入っていますが、パソコンから音楽をダウンロードし自分でアラーム音をカスタマイズすることもできます。
夜間や家事の最中など、目を離している間は玄関にこのような人感センサー付きアラームを設置しておき、認知症の高齢者が外へ出てしまってもすぐわかるようにしておくなど、各家庭の生活環境に合わせて使用方法を工夫することができるのも人感センサーの魅力です。
行動を制限したり強制したりするものではないので、自由がきかないと感じると攻撃的になったり暴れてしまうような症状がある認知症患者にも有効的です。
中には電子錠に人感センサーが付属している徘徊対策グッズもあります。ドアが開くと警報を鳴らすなどの連携が可能なのでより正確に対策することができます。
最近の人感センサーは、反応があるとスマホなどに通知がくるタイプもあります。アラームや警報では気付くことができない外出時などに利用する場合は、通知機能があるものを選択すると良いでしょう。
gpsを使用した認知症徘徊対策グッズ
これまで、認知症の徘徊を事前に防止する対策グッズを紹介してきましたが、実際に徘徊が起きてしまってからの対策も欠かせません。
認知症患者が行方不明になり捜索に時間がかかってしまうと、とても危険です。
認知症患者が徘徊してしまった場合には、すぐに居場所が特定できるようgpsが付属したグッズで対策するようにしましょう。
認知症患者がgps機器を持っていれば、家族はスマホなどで簡単に居場所を把握することができます。もし、気づかないうちに外へ出てしまっても、居場所が把握できれば捜索にかかる時間を最小限に抑えることができるので安心です。
最近では、キッズケータイにも取り入れられているようなケータイ電話のgps機能を利用して居場所を把握できるようなものが人気です。しかし、認知症患者が徘徊してしまう時はケータイ電話を持たずに外へ出てしまうケースが大半です。
本人が意識をしなくてもgps機器を持っていることができるよう、小型のものを着ている服のポケットに入れたり、靴に内蔵したり、着け外し不要なリストバンド型のgpsグッズを取り入れるようにしましょう。
認知症徘徊対策用のgpsグッズはネットでも購入することができ、比較的安価な価格で販売されています。中には、徘徊時の居場所確認の他、一緒に外出した際に離れた時にも通知が届くような対策グッズもあります。用途に応じて必要なgps機器を購入し、複数を使い分けるのも入念な対策ができるでしょう。
おわりに
認知症の徘徊を防止する対策や徘徊時速やかに居場所を特定する対策には様々な方法があります。グッズなどを取り入れ、手軽に対策できることから始めることは大切ですが、手に負えない場合や家族にかかる負担が大きすぎる場合は、デイケアサービスを利用するなど、適切な介護サービスを受けることも大切です。予算や家庭環境を考慮しながら、最適な対策方法を選択していきましょう。
ポイントは以下の4つです。
認知症徘徊対策グッズは低コストで迅速に取り入れることができる
電子錠など鍵を使った対策グッズで認知症の徘徊を防止する
センサーを使った認知症徘徊防止グッズで目を離している間の対策をする
小型gosグッズで認知症患者の居場所を把握するなど徘徊時の対策もする
認知症徘徊グッズを提供している会社によっては、声かけや連絡、案内、送迎など見守りサービスも合わせて行なっているところもあります。デイケアサービスを利用したり、施設の入居資金がなかったりと介護サービスを受けることが難しい場合は、見守りサービスが付属している対策グッズを購入するのも一つの手段です。
認知症患者、サポートする家族、どちらにも負担がかかりすぎない対策をしていきましょう。