孤独死の統計でわかる深刻な社会問題

近年総務省の統計によると、孤独死の件数は増加傾向にあります。年々孤独死が増加している深刻な現状の背景には、少子高齢化、核家族化、地方過疎化、自立できない大人の増加、高齢者の孤立、など様々な社会問題を抱えています。

従来は地方の過疎化と高齢化により孤独死の件数が増えていると判断されていましたが、東京都23区の統計では、孤独死の件数は年間2万6821人都心部に孤独死が集中しているとされています。

また、東京都監察医務院の統計データによると、孤独死の件数は過去15年で2倍以上に増加しており、増え続ける高齢者の数と孤独死の件数は地方に限らず全国的に歯止めがかからなくなっているのが現状です。

自宅近隣と全く関わりを持たないまま一生を終えることが当然となりつつある今、インターネットが普及し便利でグローバル化していく新しい時代が、孤独死増加へと拍車をかけているのかもしれません。

尊厳のある最期を守るために、私たちがするべきことは何でしょうか。まずは、孤独死の細かい統計をもとに現状を把握していきましょう。

おすすめの見守りサービス

孤独死の統計からわかる現状

近年高齢化は急激に進み、2019年総務省の統計によると65歳以上の高齢者数は3,588万人となり、総人口の35.3%を占めました。その割合は世界的にも高い水準であるとされています。その内、高齢者の単身世帯数は一般世帯の3分の1を超えて多く、これにより孤独死を増加させていることが社会的に注目を集めています。

孤独死は死後から発見までにかなりの日数を要し、物が散乱した部屋で食物の腐敗臭と共に異臭を放つ遺体が発見されるなど、悲惨な発見現場の実情が多くのメディアで発表されています。そのため最近では、賃貸物件には高齢者の受け入れを懸念する傾向が見られるようになりました。契約を延長できず行き場を失う高齢者が増えつつあることも新たな課題として問題視されています。

しかし、孤独死増加を引き起こす要因は高齢化問題だけとは限りません。

一般社団法人日本少額短期保険協会が主催した「孤独死対策サミット2019」の統計資料によると、孤独死の平均年齢は61歳となっています。孤独死の印象を聞くと高齢者の病死や80歳以上の老衰による死をイメージする方も多いでしょう。しかし、現実は平均61歳とまだ高齢者とみなされない年齢の孤独死もあり、40代までの死因は自殺が72.8%を占めています。

孤独死の全件数のうち病死62.3% 自殺11.3% 事故死1.8% 不明24.6%となっており、65歳未満の死亡者は全体の50.8%となっています。

孤独死が増加傾向にある要因に高齢化社会、高齢者の孤立があげられることが多いですが、問題は高齢者の孤独死のみに限らないことが統計を基にするとわかります。

孤独死の現状と向き合っていくには、高齢者が抱える問題のみに限らず、単身世帯が孤立しないよう社会とつながりを保っていくにはどのようにしたら良いのか考えることが先決といえるでしょう。

男女別孤独死の統計

孤独死の統計は男女で違いがあるのでしょうか。

男女別で孤独死の統計をとると、全体の8割以上が男性であることがわかります。

男性は、定年退職を迎えると社会との接点が急激に減少する傾向にあります。社会的な「男性学」の研究によると、男性には社会において自立して生きていくことが求められることが多く、多少共感能力に欠けていても評価される傾向があるとされています。今まで社会で評価されてきたジェンダー的特質が、孤立を招きやすくし、孤独死へとつながってしまっているのも確かです。

東京都監察医務院の統計によると、孤独死が発見される平均日数は男性で死後12日、女性で死後6日とされています。孤独死の平均年齢も男性は50歳前半、女性は60歳後半と孤独死の発生年齢は男性の方が早いこともわかります。

それに対し、内閣府平成30年高齢社会白書の統計によると、一人暮らしをしている高齢者(全国)592万8,000人の内、女性は400万人、男性は192万人と、女性の方が一人暮らしの割合は高くなっています。

これらの統計を基に考えると、女性は高齢者の一人暮らしによって孤独死を引き起こしている可能性が高いですが、男性の場合は高齢者に限らず何らかの事情で仕事を辞めたことにより社会的つながりを失い孤独死に至ると考えることができます。

一概に、男女の違いで社会問題を区別していくことは難しいですが、孤独死において男女格差があることは確かです。男女ごとに孤独死の対策方法を区別して解決していく必要があるかもしれません。

月別孤独死の統計

一般社団法人日本少額短期保険協会の統計データによると、季節ごとの孤独死割合は、3~5月春24.6% 6~8月夏27.6% 9~11月秋22.2% 12~2月冬25.6%と大きな差は見られません。

しかし、近年温暖化により夏の気温が上昇、熱中症の死亡件数が増加しています。総務省消防庁の統計資料によると2019年5月から9月の全国における熱中症により救急搬送された人の累計は71,317人でした。その内死亡者数は126人となっています。

搬送された人員のうち、65歳以上の高齢者が最も多く、52.0%を占めています。

夏に発生した孤独死の死因には熱中症などによるものと判断される実例もあり、このまま熱中症の問題が深刻化していけば夏の孤独死が増加することが予測されます。

また、夏の孤独死が現状27.6%と他より少し高い割合となっている要因に、臭いによって近隣住民が発見しやすくなることもあげられます。

異臭によって発見される場合は、死亡してからかなりの日数が経過している場合が大半です。発見が遅れた孤独死が物件に与える損害は大きく、平均して90万円程度の損害が発生すると言われています。

孤独死の遺体を発見した場合は、警察に通報する必要があり、賃貸物件の周辺は一時的に騒然とします。孤独死があったことを近所に知られないようにすることは難しく、孤独死が発生した部屋はもちろん、その他の部屋も相場よりかなり賃料を下げなければならないなど経営悪化に陥ることが予測されます。

賃貸業を営む方にとっても孤独死は深刻な問題となっています。
ただ孤独死を減少させる手段を考えるだけでなく、孤独死を専門とする保険に加入するなど孤独死が発生した際の対策を考える必要があるでしょう。

地域別孤独死の統計

地方の過疎化によって孤独死が増えているのではないか、と人口の偏りに注目されることがありますが、実は全国の孤独死者数の半数以上が東京を含む関東地方で発生しているとされています。

日本少額短期保険協会の統計資料によると、東京25.9% 東京以外の関東地方33.2% 北海道・東北地方 8.0% 中部地方 6.6% 近畿地方 11.8% 中国・四国・九州地方 14.5%となっています。また、中国・四国・九州地方のうちおよそ半数の孤独死が福岡県で発生しています。

よって孤独死増加と、地方の過疎化問題はあまり関係性がないと判断することができるでしょう。

都心部や市街地に孤独死が集中するのは、企業の倒産やリストラ、困難な再就職、失業期間の長期化による貧困が一つの要因になっています。
収入が少ない状態では、他者と比較した時に苦痛を感じる、交友関係を深めるためにかかる費用が支払えないなどの理由により世間との距離をおくことが多くなってしまいます。

都心部や市街地では、格差社会による自信喪失や心のより所をなくすなどが引き金となり、精神的な病を抱える人は多くいます。地元を離れて仕事をするために都心部へ出てきた人は、身寄りもなく職場の人間関係を失えば相談する相手すら見つからない状態に陥っているケースがあります。

国の支援を受けながら生活をするものの、毎月の賃料は地方よりも高く、食費もかさむため、病院へ行く費用を捻出できないというのが現状です。

国勢調査の統計資料によれば、2015年の50歳までに一度も結婚をしていない生涯未婚率の割合が、東京都は男性26.0%女性19.2%と全国平均の男性23.3%女性14.0%を上回っています。

都心部では、困った時に支えとなる家族がいない人が増加しています。一度の失業が命取りとなり孤独死を引き起こしていると言っても過言ではないでしょう。

国の支援だけでは十分な生活を送って行くことは難しく、社会から孤立してしまう人の増加は後を絶ちません。孤独死の増加を解決して行くには、働き方、企業のあり方を見直して行く必要もあるでしょう。

おわりに

孤独死の統計を基にわかった現状を見ただけでも、抱えている社会問題は多く、そして複雑化しています。
高齢化、過疎化だけに着眼しているのは、もう時代遅れなのかもしれません。

ポイントは以下の4です。
統計を基にすると孤独死の平均年齢は61歳。死者は高齢者だけではない
内閣府の統計によると孤独死の割合は男性の方が高く、発生平均年齢も早い
熱中症の統計を参考にすると、今後夏場の孤独死は増加していく傾向にある
地域別統計では都心部や市街地の孤独死割合が高く、貧困や孤立に要因する

孤独死の統計を基にすると様々な課題が出てくるように、世間では現状と違った解釈が広がっていることがあります。孤独死は高齢者の問題、地方過疎化の問題と言い切ってしまうのはとても危険なことです。誰にでも起こりうる問題であることを再確認し、その上で一人一人が問題と向き合って行く必要があるでしょう。

解決策は孤独死を回避するために周りが支えるだけではありません。孤立し周囲と関わりを持たないままでいいのか、自問自答し生活環境を変えたり自らの行動を変えて行くことも重要です。

見守りの最新記事8件

  • 高齢者や子供の外出をGPSで管理!GPSの居場所検索機能についても徹底解説

    GPSと聞けば映画などで相手の位置情報を探るなどといったイメージがあると思いますが、このGPSの居場所検索機能というのは現実世界にも応用されています。様々な用途で使われてますが、今回はその中でも一般人に向けた用途である高齢者や子供の外出時を見守る見守り機能としてのGPSを徹底解説していきます。 おすすめの見守りサービス

  • GPSの居場所検索サービスとは?メリットデメリットを徹底解説!

    GPSの居場所検索サービスというのはGPSを使って特定の人の居場所を検索するというものです。多くの場合は見守りサービスとして高齢者や子供見守り際に使用されますが、最近では待ち合わせや浮気防止などにも使用されるようになってきました。今回はそんなGPSの居場所検索サービスとは一体何なのか、そのメリットやデメリットなどを徹底解説していきます。 おすすめの見守りサービス

  • 外出時の見守りGPSとは?特徴を徹底解説

    最近では多くの家庭で見守りサービスを利用していますが、そのほとんどが家庭内で行う見守りサービスであり外出中の見守りサービスを利用している家庭はまだまだ少ないです。 しかし見守りGPSを利用すれば外出中であっても見守りを行うことができます。 今回はそんな見守りGPSとはいったい何なのかを徹底的に解説していきます。 おすすめの見守りサービス

  • 見守り用GPSとは?その特徴や端末別の価格を徹底比較!

    最近では子供の習い事や高齢者の散歩などにGPSを利用する家庭が増えてきました。GPSを利用することで子供や高齢者がどこにいるのかなどがすぐにわかるため非常に重宝されています。 今回はそんなGPS端末を価格別にメリットデメリットやその特徴などを紹介していきます。 おすすめの見守りサービス

  • GPSで認知症対処?徘徊に使えるサービスとは?

    認知症対策として様々なグッズやアイテム、見守りサービスなどがありますが、GPSを見守りサービスの一覧として使用している方はまだまだ少ないです。しかしGPSは認知症などで夜間徘徊をしてしまう高齢者への対策として非常に有効です。 今回はそんなGPSと認知症の関係、種類いなどを解説していきます。 おすすめの見守りサービス

  • 外出時の見守り?老人用のGPSとは

    老人用のGPSと言うのは、主に外出時に高齢者が危険な目にあっていないか、事故などにあって動けないでいるのではないか、といった状況に対応することができます。 GPSと聞くとあまり一般的ではないイメージがありますが、現在ではほとんどのスマホにGPS機能が取り付けられていたり、高齢者専用のGPSが開発されていたり、見守りによく利用されているアイテムの1つです。 おすすめの見守りサービス

  • キッズケータイで外出時の見守りも?内蔵GPSとは?!

    小学生の子供でもスマートフォンを使用しているのが当たり前の時代になってきました。しかしさすがに小学生にスマホ持たせるのは早すぎると考えている保護者の方も多く、学校で自分だけスマホ持てないという子供も一定数存在します。しかしスマホにはGPSが内蔵されているものがほとんどで、子供が外出時にどこへ行ってるのか、どのようなルートを通っているのかというのが簡単に管理することができます。今回はそんなGPSを内…

  • スマホ一つで私生活が丸わかり?!「行動履歴」とは?

    最近ではコンビニへ行くだけでも、すまほー持ち歩く人が多くなってきました。スマホと言うのはそれだけ私たちの生活に密着して、肌身離さず持つ存在となりましたが、そんなスマホが私たちの生活を全て記録しているといった事実は、多くの人が知りません。 今回は、スマホが行っている行動履歴とは一体何なのかを徹底解説していきます。 おすすめの見守りサービス

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。