高齢者施設はどのように選べば良いのでしょうか。現代の日本社会が抱えている大きな問題の一つに高齢化があります。家族と離れて暮らす高齢者や要介護の高齢者であれは、高齢者施設に入居するケースも出てきます。高齢者施設を選ぶ場合、何を基準に選んで良いのか分からない事も多いでしょう。
この記事では高齢者施設の種類とその選び方について解説します。
どう選ぶ?高齢者施設の分類方法!
高齢者施設を選ぶ場合に基準となるポイントは大きく分けて2種類あります。まずはその2種類のポイントについて取り上げましょう。
高齢者施設の分類①要介護者か自立者か
高齢者施設を選ぶ場合、まずその高齢者が要介護者か自立者かによって選び方が変わります。要介護者の場合には必要となる設備やサービスがあり、それらを提供する高齢者施設である事が必要条件となります。自立者の場合は、入居者が高齢者に限定された賃貸住宅で良い場合もあるでしょう。
高齢者施設の分類②民間施設か公的施設か
高齢者施設を選ぶもう1つのポイントは民間施設か公的施設かという違いです。民間施設と公的施設では多くの場合、料金形態が異なります。一般的には公的施設の方が入居料が安い場合が多いでしょう。民間施設を選ぶか公的施設を選ぶかは、予算と必要なサービスとの兼ね合いで決まるケースが多くなります。
高齢者施設の種類その1~要介護者用の民間施設
このように、高齢者施設は要介護者対象/自立者対象の違い、民間施設/公的施設の違いによって合計4種類に分類できます。ここからは4種類の高齢者施設それぞれの例を挙げてその特徴を解説しましょう。まずは要介護者対象の民間施設からです。
要介護高齢者用の民間施設①介護付き有料老人ホーム
要介護者対象の民間高齢者施設としてはまず介護付き有料老人ホームがあります。介護付き有料老人ホームは『特定施設入居者生活保護』というサービスの提供が許可された高齢者施設。サービスとしては生活支援サービス、介護サービス、リクリエーション、イベント、リハビリサービスなどを提供。
介護度によって料金が決まり、1~3割が自己負担となります。
要介護高齢者用の民間施設②住宅型有料老人ホーム
要介護者対象の民間高齢者施設としては住宅型有料老人ホームもあります。住宅型有料老人ホームは主に自立者を対象にしている場合が多いですが、要介護者を対象にしている場合も。毎日の生活サービスの他、健康管理サービスやリクリエーション、イベントなどのサービスがあります。
必要な費用は入居時の契約金と毎月の賃貸料。介護サービスの負担は介護度で規定された支給限度額までは1割~3割の負担となります。
要介護高齢者用の民間施設③グループホーム
要介護者対象の民間高齢者施設として最後にグループホームが挙げられます。グループホームはその自治体に住む65歳以上で要支援2以上の認知症高齢者が入居できる高齢者施設。グループホームでは少人数のグループを作って日々の生活や訓練を行います。介護度が上がった場合は退去しなければならない場合も。
入居時の補償金などで数十万円が必要な場合があります。あとは毎月の施設利用料で生活できます。
高齢者施設の種類その2~要介護者用の公的施設
要介護者対象の高齢者施設としては公共で運営されているものもあります。要介護者対象の高齢者施設としては以下の3種類が挙げられます。
要介護高齢者用の公的施設①特別養護老人ホーム
要介護者対象の高齢者施設としてはまず特別養護老人ホームがあります。特別養護老人ホームは、要介護度3以上の高齢者が入居できる公的な高齢者施設。重度の認知症患者も受け入れています。特別養護老人ホームでは介護サービス、生活支援などの他にリクリエーションやイベントなども行っています。
特別養護老人ホームには各部屋がユニット式となっている新型と、従来の形式の旧型があります。1ヶ月の利用料の相場は新型が15万円、旧型が10万円。初期費用は掛かりません。
要介護高齢者用の公的施設②介護老人保健施設(老健)
要介護者対象の高齢者施設として次に介護老人保健施設、通称『老健』があります。介護老人保健施設では要介護1以上の高齢者が対象。介護老人保健施設は病院を退院後、すぐに自宅復帰が難しい高齢者のためのリハビリ施設。入居期間は短期の3~6ヶ月が原則で、例外も受け入れられます。
介護老人保健施設では毎日の生活介護や自宅復帰のためのリハビリを中心に行います。1ヶ月の利用料の目安は4人部屋で9~12万円。初期費用は掛かりません。
要介護高齢者用の公的施設③介護療養型医療施設
要介護者対象の高齢者施設、もう1つのタイプとして介護療養型医療施設があります。介護療養型医療施設は要介護1以上の高齢者で、医師の管理が必要な者が対象です。入居者100人に対して3人の医師が配置され、たん吸引やカテーテルなどの医療措置を受ける事が可能。
初期費用はなしで、1ヶ月の使用料の目安は4人部屋で9~17万円です。
高齢者施設の種類その3~自立者用の民間施設
高齢者施設の種類は要介護者対象のものと自立者対象のものに分かれます。要介護者対象の高齢者施設に続いて、自立者対象の介護施設についても見てみましょう。自立者対象の介護施設にも民間運営のものと公共機関運営のものがありますが、まずは民間施設からです。
自立高齢者用の民間施設①サービス付き高齢者住宅(サ高住)
自立高齢者のための民間施設としてはまずサービス付き高齢者住宅、通称『サ高住』があります。サービス付き高齢者住宅では有資格者の安否確認と相談が受けられ、60歳以上の高齢者が入居対象となります。サービス付き高齢者住宅では基本的に規則に縛られない自由な生活が可能。
介護が必要になった場合は別途のサービスに申し込む事も可能。初期費用は施設のグレードによって大きく異なり、1ヶ月の賃貸料も5~25万円と幅があります。
自立高齢者用の民間施設②健康型有料老人ホーム
自立高齢者のための民間施設として次に健康型有料老人ホームが挙がります。健康型有料老人ホームは食事サービス付きの高齢者施設。スポーツジムや温泉など、健康な高齢者が楽しむための設備を揃えた高級施設です。部屋はバリアフリーのバス・キッチンを完備した1LDKや2LDKの個室。
初期費用が1千万円以上、月額料金も15~50万円と高額。基本的に要介護者は受け入れませんが、途中で介護が必要になった場合は近くに介護施設を併設している事も。
自立高齢者用の民間施設③高齢者専用賃貸住宅(高専賃)
自立高齢者のための民間施設、続いては高齢者専用賃貸住宅、通称『高専賃』です。高齢者専用賃貸住宅は高齢者の入居を専門とした賃貸住宅で、バリアフリーなどを備えています。高齢者専用賃貸住宅は近年ではサービス付き高齢者住宅に登録切り替えされつつあります。
高齢者専用賃貸住宅に入居するための初期費用は数十万円、家賃は管理費込みで5~15万円。
自立高齢者用の民間施設④高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)
自立高齢者のための民間施設、4番目は高齢者向け優良賃貸住宅、通称『高優賃』です。高齢者向け優良賃貸住宅は都道府県で認定されている高齢者用賃貸住宅。対象入居者は60歳以上で敷地内はバリアフリー、安否確認や緊急対応サービスを行います。
高齢者向け優良賃貸住宅も近年はサービス付き高齢者住宅へ登録移行中。入居の初期費用は数十万円、家賃は管理費込みで5~10万円程度が相場です。
自立高齢者用の民間施設⑤シニア向けマンション
自立高齢者のための民間施設、最後のタイプとしてシニア向け分譲マンションがあります。シニア向け分譲マンションは高齢者を入居対象とする分譲マンション。通常の分譲マンションのように所有者は賃貸、売却、譲渡、相続などを行う権利があります。
付帯するサービスは家事支援や温泉などその施設によってさまざま。介護が必要となった場合においては在宅サービスの利用となります。したがって重度の要介護者となると有料老人ホームへの転入が必要となる場合もあります。
高齢者施設の種類その4~自立者用の公的施設
高齢者施設の4種類の分類として最後に挙げられるのは自立高齢者のための公共施設です。自立高齢者のための公共施設は2タイプに分類されます。以下の通りです。
自立高齢者用の公的施設①軽費老人ホーム
自立高齢者のための公共施設のタイプとしては、まずは軽費老人ホームが挙げられます。軽費老人ホームとは自立した生活に不安を抱えなおかつ身寄りのない高齢者を支えるために自治体が提供する高齢者施設。軽費老人ホームは食事提供があるA型と食事提供がないB型に分かれ、いずれも安価で入居できます。
例えばA型の入居条件としては60歳以上の身寄りのない高齢者で、月収34万円以下といった規制があります。
自立高齢者用の公的施設②ケアハウス
自立高齢者のための公共施設、もう1つのタイプはケアハウスです。ケアハウスも軽費老人ホームの一種と言えますが、軽費老人ホームA型やB型と違って所得制限がありません。入居資格は60歳以上の高齢者で身寄りのないもの。ケアハウスでは自治体の援助により食事、安否確認、生活相談などのサービスが提供されます。
入居後に介護が必要になった場合は介護業者と契約してサービスを受けられるようになります。また介護1以上の高齢者が専門の介護を受ける事ができる介護型ケアハウスもあります。
高齢者施設はニーズによって多様なタイプがある!
この記事では高齢者施設の分類とその特徴について取り上げました。高齢者施設の分類としては入居者が要介護者か自立者かの違い、そして民間施設か公的施設かの違いによって合計4種類に分けられます。また費用の違いによっても分類されるでしょう。
高齢者施設を選ぶ時はまず自分の立場を把握して、自らに合った施設を選択する事が重要です。